2009年3月27日

【勉強会報告】:「鍼灸師について」大下義武さんご講演。

◇開催日時:2009年03月26日(木@19:00~20:00)

◇講演者
 大下義武さん
 おおした鍼灸院 院長
 http://www.oosita.net/

◇ご講演内容
 ・鍼灸治療について
 ・小児はりについて
 ・スキンタッチについて
 ・皆さんよりいただいた質問へのご回答


◇質疑応答
質問1:鍼の種類はどれくらいあるのですか?
 豪鍼、へら鍼 、円鍼、ばね鍼など。
 (とがっていない鍼の種類の多さに、一同驚く)

質問2:鍼は効くとよく聞きますが、怖くて… 怖くない鍼(針?)はありますか。
ありますよ、円鍼、ばね鍼などですね。(写真左)

質問3:夏でも冷えがちです。手軽にできるお灸を教えてください。
三陰交(くるぶしにひとさし指をあてて上に向かって3~4本分の箇所)、
または湧泉(親指の付け根の盛り上がった筋肉の、足の親指と人差し指の間を少しおりてきたところを
お灸、または指で押します。
それから「首」とつく身体の部分を1年中冷やさないよう意識してあげてください。

質問4:大人にも有効なスキンタッチはありますか?
(とがった)鍼が苦手なひとは、円鍼などで気の道をなでてあげるだけでも効果はあります。

質問5:どんな国家試験を受ける必要がありますか?
国家試験ですが、鍼灸師を養成している専門学校や短大、大学等を卒業することで
1年に1度ある国家試験を受験できます。
2008年の、あん摩マッサージ指圧師試験の合格率が87.7%、はり師試験の合格率は78.2%、
きゅう師試験合格率は78.4%でした。(財団法人東洋療法研修試験財団による)

質問6:なんとか流、という流派はいろいろあるのですか?
実際にはいろんな流派がありますが、大きく分けるとしたら、
身体を古典的な方法で診断治療する古典派と、
西洋医学の観点から治療を行う現代医学派の二つに分けることができます。
古典派は陰陽五行論を治療に生かし、経絡の虚実を調整する事を目的とした治療を行い、
現代医学派は解剖生理学の見地よりトリガーポイント等を使って治療を行います。

質問7:小児はり は何歳からできるのですか?
生後4か月くらいから、首がすわって外出しやすくなってから、お越しいただいています。

質問8: (小児はりについて)小さい子供は,じっとしている事が 難しいと思ってますが、
はりをする間は 保護者が子供が動かないように押さえて(?)おくのですか?

押さえつけて嫌な思いをすれば二度と治療させてくれないので、押さえつけることはありません。
動き回るお子さんには自由に遊ばせながら治療をします。
お子さんにまず慣れていただく(自分にも、診察室という環境にも、鍼にも)ことが先決なので、
最初は自由に遊んでもらいます。
遊んでもらっているうちに小児はりをすることもありますし、
話をしながら「先生は○○ちゃんをみるね、○○ちゃんはお母さんをみてくれる?」と
『ごっこ』をしながら進める事もあります。『ごっこ』はとても楽しんでもらえます。

質問9:
はじめまして。 1歳4ヶ月の男の子がおります。
HPを拝見したのですが、 「キーキー声を出す、人に噛み付く」
にも効果がある、とのことですが、鍼を施術することによりリラックスし、その結果上記の状態が改善する。。。ということなのでしょうか。 なかなか一言ではいえないとは思うのですが、なにぶん鍼は私自身したことがないので、ご教示いただけますと助かります。
来院されて興奮しているお子さんもいらっしゃいます。
まずは(先述の通り)この診察室の環境・鍼をする私・はり自体に慣れてもらうことが大事です。
興奮状態がまずおちついてから、です。鍼は基本的に自律神経のバランスを整えますので、
一度鍼を受けて「気持ちがいい」と分かったお子さんは進んで大人しく施術を受けてくれるようになります。

●自己紹介「なぜ鍼灸師に?」
昔、いろんな方々が集まって農作業を行う、今でいうLOHAS的な活動に参加していました。その参加者の中に鍼灸師さんがいらっしゃって、免許があればどこでも開業できる、というところに惹かれ、この道に入りました。

●東洋医学について「自然治癒力を引き出すとは?」
西洋医学は痛みのある箇所をピンポイントで治療しますが、東洋医学は身体全体をながめ治療します。また、これといった特定の病名をつけずとも治療できます。
2006年にWHO(世界保健機関)が定めた人間のつぼの数は361カ所にもおよびます。

●鍼灸の歴史
石器時代に石を磨いで作られた、とされる鍼も残っています。漢の時代に集大成され、陰陽五行思想にも関係する東洋医学・鍼灸は心(副交感神経)と身体(正交感神経)のバランスをとることに効果があります。

●診断について ■■■注意:あくまで概略です。自己判断はおやめください■■■
望診:見て診断(顔色、肌の色など)
 肌の色 青っぽい:肝臓、白っぽい:肺、黄色っぽい:消化器系
 顔の色 赤っぽい:気が上に上がっているので下ろす必要がある、など
聞診:聞いて、においをかいで診断(声のトーン、話す速度など)
問診:聞いて診断(これまでどんな病気に罹ったかとか、今どういうう事がつらいのかといった症状そのものだけでなく、日常生活や最近の体調なども質問)
切診:触って診断(肌のざらつきなど)

●治療
陰陽五行論に基づき、施術。
経路図は内蔵を反映しています。気の流れが滞っている箇所を鍼でなでてその流れをよくしてあげることにより、身体のバランスの改善を図ります。

「必ずしも刺す必要はありません」と鍼を横にして肌をなでる様子を見せる大下先生。鍼は必ずブスッ!と刺されると思い込んでいた参加者たち、一様に驚く。

●経営
どの仕事でも「ここの分野は自信を持ってあたれる」という分野を持つ事が大事だと思います。妊婦さんへの治療、特に逆子の治療にあたる機会が多く、結果、逆子がなおり無事出産されたケースが多くありました。鍼灸で肩こり・頭痛はすでに広く専門医がいたため、自分はこの疾患を専門に持ってはどうだろうかと考えました。